707: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/10/12(月) 00:00:34.48 ID:+/5T+82DO
そして、今に至る。
視線の数は減るどころか、さらに増えていた。そろそろ質量を持ちそうなくらいだ。教室と食堂では収容人数の桁が違うのだから当たり前だが、ライにとっては致命的以外のなにものでもなかった。
「どうしたの?」
「いや……」
カレンの目線を避けるようにライは顔を逸らした。なぜだか、今日の彼女は周囲の視線を全くといっていいほど気にしない。
いつもなら過剰なくらい気にかけるはずなのに──
「体調が悪いの?」
「違う。すこぶる良好だ。ただ、周囲の視線がどうもな……」
「視線? 普通だと思うけど」
こんな調子だった。明らかにおかしい。そして心なしか、距離も近かった。
(なにが目的なんだ……?)
カレンの豹変にライは戦慄していた。友好的なカレンほど恐ろしいものは無い。この後に続く悲劇の前兆なのではないかと身構える。とても失礼な思考だった。
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