721: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/10/12(月) 00:22:33.89 ID:+/5T+82DO
 いつの間にかカレンを凝視してしまっていた。 
  
  
 ライからの熱い視線に彼女が気づかないわけもなく、気まずそうに身じろぎし、チキンを運んでいた手を止める。 
  
  
 「あの……」 
  
  
 「どうした」 
  
  
 「……そんなに見られてると食べづらいんだけど」 
  
  
 カレンが少し頬を赤くする。彼女からの圧力は消えたが、逆に周囲からの圧力が強くなった。食事を終えたにも関わらず居座る男子生徒達が、血走った目でライを射殺そうとしている。 
  
  
 (なるほど……) 
  
  
 尋常ではない居心地の悪さだが、それでも分かったことがある。重要なことだ。 
  
  
 カレン一人から向けられる偏執的な視線より、顔や名前も知らない生徒達数百人から放たれる殺気の方が、遥かに脅威度が低いと感じる。 
  
  
 体が震えないし、慢性的な危機感も無い。誰かを盾にし、陰に隠れようと思わない。 
  
  
 (これは使える……) 
  
  
 ライの中でいくつかの策が練り上がってきた。有効な策だ。成功すればカレンを含めた敵対勢力を一掃できる可能性がある。だが、まだ情報が足りない。確証もまた無かった。 
  
  
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