78:名無しNIPPER[saga]
2015/06/18(木) 08:32:53.29 ID:0bD55o1DO
『……ネズミを捉えた。対応していた小隊は全機やられたそうだ』
『はっ。情けない。たかが<グラスゴー>一機に』
上官であるチェンバレン中尉からの言葉に、後輩のコベット准尉が鼻を鳴らした。チェンバレンは三十代前半の男性で、十年近く現場で慣らしたベテランのパイロットだ。酒と煙草が嫌いで妻子持ちの癖に、勤務後や休日は良くキャバレー・クラブへ出向いていた。女好きなのだ。
職場では厳しい上司だったが、その人柄や指揮能力、ユーモアを理解してくれる点もあって、部下からは好かれていた。エリア11での初任務の後、彼が奢ってくれた五ポンドのステーキの味は忘れられない。ほとんど食べられなかったが。
「<グラスゴー>ではなく、<無頼>という機体だ」
『……旧式なのは変わりませんよ。どっちにしろ、<サザーランド>の敵じゃない』
コベット准尉は四カ月前に軍学校を卒業後、エリア11に配属された新人で、クレメンスの初めての部下だった。卓越した射撃の技量を持ち、部隊では後衛を担当している。
初めての配属地が激戦区のエリア11という事に愚痴ばかり垂れる困った後輩だが、それでも仕事はきっちりこなす長所を持っていた。
通信課の女性と最近、懇意にしており、その関係に苛立ちを隠せない上司二人が流した「コベットはゲイ」という噂が彼の悩みだろう。
1002Res/860.00 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。