818: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/11/05(木) 11:04:55.00 ID:+RjyVImDO
「前に、私がここで声をかけたでしょ。ほら、日記帳を一緒に選んでって言ったやつ」
彼女の言おうとするところが分かったライは頷いた。
「ああ。それなら覚えている。大切な思い出だ」
「う……。そ、それよりもキミのことをね」
「僕の……?」
「うん。まだ一か月しか経ってないんだなあって。キミが私たちの学園に来てから」
シャーリーの瞳はベンチを見ているが、実際はそこに何か大切な物を重ねているのだろう。柔らかな声には愛でるような優しさが込められていた。
「…………」
「ずいぶん馴染んだよね」
「そうだろうか」
「そうだよ。最近はちょっとだけ笑ってくれるようになったし。さっきみたいに」
「笑っていた。僕がか」
無意識に笑っていたのだろうか。にわかには信じられず、ライが尋ねると、シャーリーは右手の人差し指と親指でジェスチャーを作り、
「ちょっとだけだよ。ちょっとだけ。ほんのちょっぴりね」
意地悪げに言ってきた。善良な少女が精一杯ワル振ろうとしている様は微笑ましい。
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