過去ログ - コードギアス 【ロスカラ】
1- 20
830: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/11/05(木) 12:25:45.94 ID:+RjyVImDO
スザクは一人暮らしをしている。あの年齢で、しかも軍人。なにより日本人だ。家族のことなど尋ねたり出来ない。


カレンにも直接訊いたことは無いが、言動の節々に嫌悪感を滲ませていることから、おそらくは良好ではないのだろう。


ライに至っては、家族の存在そのものが絶望的だった。一か月経った今でも連絡一つ無く、この身体には一般的ではない特殊薬物の使用歴や科学的処置の痕跡がある。


となれば、円満な家庭環境の中にいるのはシャーリーだけということだ。


「私んちはそんなに珍しくないよ? 普通だし」


「重要なのは希少性じゃない。君の家は円満で、君は家族を愛している。それこそが一番大事だ」


「……あ、愛してるって。キミに言われると、なんか複雑だな」


ライの抱える問題はシャーリーも理解している。褒められても素直に喜べはしないのだろう。持たざる者から持っている者への賛辞というのは、時に皮肉として受け取られる事もある。


「だから、君にも幸せな家庭を築いて欲しい。良い相手が見つかるといいな」


もしかしたら、もう見つけているのかもしれないが。


シャーリーは幸せになるべき人だ。ライは本心を語ったのだが、シャーリーは不機嫌そうにそっぽを向いた。


「やっぱりキミって意地悪だね」


「……なぜだ」


「いいの。どうせ分かんないんだろうし。それよりも、今日はいっぱい買い物するから、覚悟しといてよねっ!」


にこやかに言って、シャーリーは歩いて行ってしまった。これから待っている重労働に先んじて疲労しながら後に続く。


まあ、良いだろう。彼女の笑顔を見ると楽観的な気分になる。鬱々とした気持ちは吹き飛んでしまう。やる気が出てくるのだ。


ならば、これくらいは安い対価だ。


ライはもう一度、シャーリーの背中を見つめた。


彼女の周りだけは、やはり世界が色づいて見えた。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
1002Res/860.00 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice