854: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/11/10(火) 00:12:21.12 ID:RQrE+LDDO
中には米を丸く握り、それを海苔で巻いたものが満載されていた。あれは日本の伝統料理である──おにぎりだ。
見慣れない料理をライはぼんやりと見つめており、何故かスザクはトラウマでもあるのか注意深く観察している。
他の事は忘れて、カレンはその食事風景を眺めていた。ブリタニア人のルルーシュとナナリー、日本人のスザクと咲世子。誰もが皆、楽しそうだった。
人種の判然としていないライも例外ではない。ナナリーがおずおずと差し出したおにぎりをかじり、頷く。スザクも何かに安心した様子で食べていた。
あの空間だけは、平和だった。
人種も過去も関係ない。そこに彼も入っている。受け入れられている。受け入れている。
「…………」
この胸に燃え上がるのはなんだろうか。強い疎外感と孤独感と、なによりの危機感。それらが混ざったような複雑な感情。
めったに見せない笑顔を浮かべ、楽しそうにしているライを見る。
誰かが囁いているような気がする。数年前から聞き慣れた怨嗟の声。ゼロに出会ってからは無視出来た声。ライに出会ってからは無視出来なくなっている声。
その声が、ずっと消えないのだ。
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