857: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/11/10(火) 00:16:57.59 ID:RQrE+LDDO
「私は……あまりおしゃれについて詳しくないから」
控えめに言った。席を立ちたかったが、それを許さないほど強固な包囲である。うんざりとするカレンの様子に気づくことなく、彼女達の話は続く。
「まあ、ご両親が厳しいんですのね」
「でも、カレンさんもシュタットフェルト家のご令嬢なのですから、もう少しわがままになっても良いと思います」
うるさいと思った。ドレスもバッグも興味ない。そんな普通の、どこにでもいる女子高生が欲しがるような物は必要ない。
無性に苛々する。それが伝播したのか、机の下では右足が揺れていた。
「バッグはどうでしょうか。私この間、お父様に頼んでオーダーメイドを買って貰いましたの」
「ああ、先週末のパーティーに持って来ていた? もしかしてオーラ・カイリーの作品かしら」
「すごい。良くご存知で」
こうして自慢話に花を咲かせる。父の友人が有名ブランドのオーナーだとか、母と一緒にブリタニア本国でオーケストラの演奏を楽しんだだとか、そんな話ばかりだ。特に休み明けはひどい。
カレンは彼女達が普通の生活を謳歌している時、ライと一緒にゲットーでテロに巻き込まれていた。日常と非日常。平和と混沌。日本人とブリタニア人。まったく面白いほど正反対。
最悪の気分だった。
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