863:名無しNIPPER[saga]
2015/11/10(火) 00:26:26.46 ID:RQrE+LDDO
>>844と>>845の間にこれが入ります。
◇
学園にいると忘れられる。放課後にシャーリーと歩いていた時はやる気に満ちていた。ルルーシュの部屋でナナリーと共に食事をするのは本当に安らいでいた。
寝る前までは、なんともなかったのだ。
いつもそうだった。
夜になると引き戻される。眠りにつくと思い知らされる。そうして、深夜に目を覚ますのだ。
まるで誰かが耳元で囁いているようだった。
『忘れられるな』と。
『逃げられない』と。
暖かい夢など許されない。平穏な眠りなど許されない。安寧も幸福も取り上げられる。過去が迫ってくる。未来は閉ざされている。色を失った世界は乾燥していて、痛みと苦しみに満ちている。
行くあてなど無くて、帰れる場所もまた、無い。
なにも無いのだ。完全な虚無。
「…………」
そんな考えがどんどんと膨れ上がっていく。ライは虚ろな瞳を虚空に向けたまま、自分の内側から吹き荒れる強迫観念に身を委ねていた。
気が付けば、時刻は三時をまわっている。
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