883: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/11/16(月) 00:05:09.32 ID:X7IsvjhDO
「……また機嫌が悪くなったな」
「あなたの勘違いよ」
「君がそう言う時は決まって不機嫌だ」
「…………」
たった一か月で把握されてしまっている。カレンは視線を逸らして誤魔化した。
それからしばらく会話が途切れ、静寂がやってくる。遠くから日本人の子ども達だろう、笑い声が聞こえてきた。あの屋台の近くだ。先ほどの一件を思い出して、また気分が落ち込んでくる。
カレンはライを見た。二人がいる場所は公園の端、木々の付近だ。喧騒や団欒からは遠く離れた所である。近くには日本人もブリタニア人もいない。
「……ねえ」
自然な問いかけ。空を見ているライの背中に向けたものだ。彼の視線の先には──時間的にまだ見え難いが──月があった。明日か明後日には満月になるだろう、日光で霞んだ月。
「なんだ」
いつも通りの応答。
「別に、埋め合わせってわけじゃないんだけど」
そう前置きをする。
「私がお願いしたら、あなたは聞いてくれる?」
「ああ」
「……なんでも?」
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