927: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/11/26(木) 21:42:20.18 ID:w5GHjmWDO
突如として現れた<サザーランド>は隙の無い構えを解かない。あれはコンピューターが動かしている物ではないだろう。その物腰からは電子回路には生み出せない、ある種の遊びや、生命の息吹のようなものを感じる。
なにより、あんな機動はどんなナイトメアのOSにも組み込まれていない。
「…………」
相手はこちらの出方を窺っているようだ。僚機との連携は考えていないと見える。だが、どちらにしても時間経過で残りの二騎も到着するだろう。そうなれば勝ち目はほとんど無くなる。
仕掛けるしかない。戦術は潰された。ならば、目の前の敵を少しでも早く倒す他にない。
ライの<サザーランド>が突進。重心を巧妙に前後させることで、相手に手を読まれないように工夫する。スタントンファが電気の火花を散らした。
振りかぶる。横に薙ぐような一撃。右腕を振ったその勢いのまま、左腕での追撃も叩き込む。だが、相手は右の打撃を同じくスタントンファで弾き、やや後退。二撃目をすんでのところで躱すと、無防備になったライの背後に攻撃を仕掛けてきた。
このままではコックピットを破壊される。もともと隙を晒すのは分かっていたので、あらかじめ地面に撃ち込んでいたスラッシュハーケンを巻き戻した。急制動から飛び出すように前へ。危ういところで敵のスタントンファが通り過ぎていった。
「──ちっ」
相手の目論見からは逃れたと思っていた。しかしモニターには回転する敵<サザーランド>の姿。ランドスピナーを使った機動だが、荒れ狂う重心を天才的なバランス感覚で力任せに制御する、曲芸の類のものだった。
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