956: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/12/01(火) 08:34:40.28 ID:IN4redvDO
前に会った際の超然とした態度は鳴りを潜めている。
ここまで待ったのだ。あの時に感じた衝動も今は無い。力は安定したのだから、もう問題はクリアしているはず。なにが不満なのか。
「……忠告はしたぞ」
瞬間、C.C.の瞳に憐れむような色がよぎった。彼女が初めて見せた、人間らしい表情の変化。それに疑問を持つ間もなく、ライの膝に少女が馬乗りになった。
視界を支配するのは冷淡な美貌。世界を知り尽くしたような、そしてその全てから取り残されたような、深い絶望を宿している。吐息が溶け合い、鼻先が触れ合いそうな距離で、二人の視線が交わった。
見つめ合っていたのはほんの数秒ほど。両者を包みこむ、生暖かい風が吹く。C.C.の前髪が揺らめき、その額が露わになった。
「────!!」
心臓を掴まれたような圧迫感。息が詰まり、身体中の血液が瞬時に凍結したかと錯覚し、思考は氾濫した川のごとく混乱する。
C.C.の額には赤い紋様が刻まれていた。
何かの文字か、羽を広げた鳥を思わせる特異な形状。
見たことがある。
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