988: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/12/07(月) 00:01:58.79 ID:Cup4H5wDO
「僕だって馬鹿じゃありません。配慮くらいしました。保健室にはベッドを仕切るカーテンがありますから、そこの中へ誘導しようとして……」
「ああもう。分かった、分かったわよ。分かったからもうそれ以上、罪を重ねないで」
ミレイは手をヒラヒラさせて言った。釈然としない様子のライを尻目に彼女は立ち上がり、大きく伸びをする。あの姿勢だと女子高生とは思えない、ふくよかな胸が強調された。
眠いのだろう。欠伸をかみ殺している。
「とりあえず、今日はこれで解散。授業も始まっちゃうしね」
ルルーシュも立ち上がり──こちらは眠いのを隠そうともしない──生徒会を出て行く。すれ違い様にライの方をちらりと見たが、それだけだった。
自分も彼に続こうと席を立つが、そこでミレイの姿が目にとまった。深刻そうな顔でこちらを見ている。
「どうかしましたか」
尋ねるも、生徒会長は心ここにあらずといった様子を崩さない。たっぷり三秒おいてから、
「えっ? ああ……なんでもないのよ。気にしないで」
ようやく返答してきた。彼女には珍しい、取り繕った笑顔。
「僕の事で、何か悩みが……」
不安から尋ねたライに、ミレイは難しい顔で嘆息した。
「……どうしてこういうとこだけ鋭いのかしらね」
「……?」
「今は……言えないわ。あなたが正式にうちの生徒になるんだったら教えてあげてもいいけど」
「それは……」
「出来ないって言うんでしょ。分かってるわよ。じゃあ、こっちも言ってあげないんだから」
べー、と舌を出してミレイは部屋から消えた。去り際こそ子供のそれだったが、内心を気取られないようにしていたように見える。
きっと、何かが分かったのだろう。それも良くないことが。
ライは心苦しく思いながら、休みのスザクのために自身も教室へ向かった。
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