過去ログ - モバP「知り合いの誰か」
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30:名無しNIPPER[saga]
2015/08/02(日) 18:35:37.57 ID:x8M4imvn0
 観られていることを意識すると、緊張してしまいます。

 今ここで微笑んでいる私は、前の晩泣きながらあなたに組み敷かれていた私。

 今ここで食事している私は、前の晩おなじ口であなたを咥え込んでいた私。

 今ここでよそ行きの格好をして居る私は、前の晩汗と生臭さに塗れていた私。

 そのようなことはそ知らぬ顔で座っている私は、そのようなことを、全て教えられてしまっている私。

 そう、私はあなたに、全て知られてしまっている。

 他の人から私がどう見られているか知ったうえで、その真逆の私を知っているあなた。

 テーブルの真向かいに居るという距離が、冷静に観察されているようで、鳥肌にも似たざわめきをもたらすのです。


 談笑しながら、無精卵を口に運びながら、拭ったナプキンを畳み直しながら。

 紳士と相席する淑女を演じながら。

 頭の中では、爛れ切った膿の様にねっとりと熱い記憶の上映が、延々と繰り返されています。

 すっかり湿ったベッドの上で、腰に腰を埋められ水音を目いっぱい立てながら、喘ぎ声さえキスで貪られた夜。

 本放送をテレビで流しながら、同じ衣装のまま深々と貫かれ、猫背の私が弓のように身体を反らせ続けた夜。

 散々焦らされて、根負けして、その日だけわざとらしく付けていた避妊具を外すよう促され――降りてきた子宮に滾々と注がれた夜。

 ――今の私を観ても、誰も、思いもしないでしょう。夜毎の痕跡は、部屋の中に全て置いてきているから。


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