過去ログ - 【Fate】聖杯戦争を突き抜けろ！【安価とコンマ】 -SS速報VIP

過去ログ - 【Fate】聖杯戦争を突き抜けろ！【安価とコンマ】

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859: ◆PLTbiiswfL.Y[saga]
2015/06/27(土) 23:53:49.65 ID:iz8lIM5Qo

黄金の男は貫く槍を自分の手で引き抜いて、ランサーの元にその槍を返す。

厳かな雰囲気を保ち、沈黙のまま自らの槍を手に取るとランサーは、黄金の男と視線を交わす。

ランサーは、何も言うことなく霊体化を済ませた。残った黄金の男は、血を垂らしながら砂利を踏み締めて自分の元に歩み寄ってくる。

敵意はない。あるのは、どこまでも穏やかな雰囲気。激情から抜けだし、険を捨てた男の顔は少年のようだった。

やがて、自分に向かい合うように立った男は、喘息交じりの言葉を紡ぐ。見るも辛そうだが、それを止めようとは誰も思わなかった。

「―――虚無に触れ、直死を得て、歪曲を覚醒させ、未来視をも得た男よ。貴様は、何のために生きる？」

思い起こすのは、暖かな衛宮の名を持つ人間たちと、護ると誓った桜の顔。言葉は、思案する暇もなく即座に浮かんだ。

「護ると決めた者のために」

士郎も、切嗣も、切嗣の娘も、桜も。そう、全ては彼らのために生きようとするために。

答えを言うと、黄金の男は笑って、言葉を残して漸く消えていった。

「その精神ならば、眼に囚われることも有るまい。
.だが、それでも失うものは有る。精々、覚悟はしておくことだ」

黄金の残滓は、風に運ばれて消えていった。弥一は、貴方は、ただその様子をじっと見ていた。

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