31: ◆D04V/hGKfE[saga]
2015/06/15(月) 23:29:37.17 ID:7IXBXgnJ0
駅に近づいてきた。
仕事帰りや学校帰りだろうか、人の往来は先ほど走って来た道と比べてかなり多くなりつつある。
夜闇に飲食店の看板のネオンが光り、街はすっかりと昼に見せるものとは違う顔を見せ始めていた。
ここまで順調に来ていたが、目前の信号が赤になり、一旦停車する。
一息ついていると、ふと左側のコンビニの入り口付近に設置されている赤いフラッグが風でゆらゆら揺れているのが目に付いた。
周囲は煌びやかに彩られ、赤い生地に白い文字で今日散々部室で話したあのイベントの名前が銘打たれている。
「なあ、お前バレンタインはどうすんだ?」
ふと疑問に思い、ぽつりと呟くように前を向いたまま問いかけた。
「はぁバレンタインですか……?はっ! もしかして今口説いてましたかチョコが欲しいならちゃんとあげますからお礼は3倍返しでお願いします!」
「ちげぇよ……」
一息に捲し立てたせいで少々息が乱れ気味で、彼女の吐いた白い息が視界の端に映る。
あれ、ていうか今回は振られてない気がするぞ?もしかしてチョコ貰えるのかしらん?
「だって、急に先輩がらしくないこと言うから……」
俺がバレンタインって言っちゃダメなんですかね?らしくないのは同意だが。
「俺が聞きたかったのは、葉山にどうするのかって話だ」
「……そうですね」
その思い悩むような反応に小さな違和感を覚えた。
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