過去ログ - 八幡「贈り物には想いを込めて」
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34: ◆D04V/hGKfE[saga]
2015/06/15(月) 23:40:21.86 ID:7IXBXgnJ0
「葉山は……逃げないと思うぞ。少なくとも今のお前からは」

「え……?」

急になされた返答に一色がわからない、という声を上げたのでそのまま続けて話す。

「単純にあいつのことだから、チョコを受け取るのを拒否することは多分ないんじゃねーの?そこから先は一色次第だ。
結局現状を変えるには……そうだな、素直な気持ちをぶつけるしかないんじゃないか」

「気持ちを、ぶつけるですか?」

確認を取るように繰り返す。言葉を反芻し、しっかりと噛み砕いて我が身の糧とするかのように。

「結局人間何考えてるかなんてわからんしな。言わないでも分かりあえるなんてありえないし、言葉にしても理解できないことはある。
ただ、今抱えているもの、本心を伝えることは間違いなんかじゃない」

正解かどうかは俺もよくわからんが、と一人ごちた。少し前の自分に向けられた言葉のようにも思えてくる。

考えて考えて考え抜いて。そして残ったもの。なんどもフィルターに掛けられたその想いこそが、人の気持ちを動かすのだろう。

心に保存しておくだけでは駄目なのだ。伝えなければ腐り落ち、やがて形を無くしてしまう。

そうこうしているうちに、もうすぐ先に駅が見えてきた。ここまで来ればもう大丈夫だろう。
後ろでだんまりを決め込んでいる一色に降りるよう促す。

「もう着いたぞ。この辺でいいか?」
「せ、先輩って……」

「あん?」

適当な人の往来の邪魔にならない場所に停車させて後ろを窺うと、細い肩がぷるぷると震えているのが目に入った。
どうしちゃったのよ〜いろはす?俺なんかした?これ何か戸部っぽいな。

「なんか先生みたいですね! ぷっ、あははははは。な、なんだか、先生に諭されてるみたいで、ぷっっくくく」

「あ……そう」



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