43: ◆D04V/hGKfE[saga]
2015/06/16(火) 00:08:15.38 ID:9WL6O8ki0
「さあ? あいつは元から積極的だったろ。そんなに変なことか?」
俺がやる事はひとつだ。ここはあくまで白を切り通す。
一色いろはに発破をかけて葉山隼人に再びアピールをさせたのは、事実上俺なのだろう。
あの帰り道の会話が起爆剤となっていることは間違いない。
葉山は疑問に思ったはずだ。
距離を保って、近づけないようにした彼女が再び距離を縮めようとしてきた。
そこに何か理由があるはずだ、とそう考えたのだ。
教えてやるのは簡単だ。あの日の出来事をつまびらかに語ればそれで終わる。
だがそれは駄目だ。一色いろはの抱えた想いはどうなる?
勇気を振り絞って、葉山隼人との距離を詰めようとしたはずだ。
彼女が感じたという「壁」を乗り越えようとしたはずだ。
凝り固まった人間関係を変えることは大層難しい。
印象をプラスのベクトルに向けさせることは並大抵のことでは叶わない。
そのくせマイナスには簡単に転じてしまうからタチが悪い。
それこそ、小さな過ちで容易く切り捨ててしまうほどにだ。
俺はその勇気に応えたい。
一色の行動に比企谷八幡と言うファクターを挟んで欲しくなかった。
あくまで一色の自発的な行動なのだと、そう葉山に思わせたかった。
きっかけを与えただけだ。どうするかは一色次第だとも言った。あいつはそれに応えてくれた。
傍から見れば一色を葉山にけしかけたようにも見える。
だが違う。そんな事は些細な問題だ。
一色の想いは本物だと思った。だから背中を押してあげたくなった。
あいつの先輩として。そして単純に一人の人間として。
本物の想いを伝えることはきっと間違いじゃない。
それはきっと美しいことなのだから。
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