45: ◆D04V/hGKfE[saga]
2015/06/16(火) 00:13:47.02 ID:9WL6O8ki0
「たでーまー」
玄関を開けると暖かい空気が迎えてくれた。もう誰か帰って来ているようだ。
誰かと言っても、共働きの両親は帰りが遅いので必然的にその誰かは限られてくるのだが。
ぱたぱたと音がして、奥の方から小町が駆け寄ってきた。
「お兄ちゃんおっかえりー。寒かったでしょ? 先お風呂入っちゃう?」
「そうだな。手とか超痛いわ」
寒風にさらされた両の手はグローブをつけていても真っ赤にしもやけ、完全に感覚を失くしていた。
これお湯につけるとビリビリするから嫌なんだよなー。
それにしても小町ってホント気が利くよな。俺と血が繋がってるのが信じられないレベル。
普段の俺ってどんだけ気が利かないキャラなんだよ?そんなことないよね?
ローファーを脱ぎながら自問自答していると、元気な声が玄関に響く。
「お風呂のあとはご飯だよお兄ちゃん! いっぱい愛情込めたからね〜。今のは小町的にポイント高いよ!」
「ああ高い高い。で、今日の試験どうだったの?」
「いつもより適当すぎるよお兄ちゃん……。まあ試験はぼちぼちかなー?」
適当にあしらいつつ、小町の試験の出来を尋ねてみる。
本年度の千葉市立高等学校選抜者入学試験は2月12日と13日に行われた。
総武高の場合1日目が学力試験で2日目が面接になっている。
2日間の総合得点で合否が決まる格好だ。
「お前昨日もぼちぼちとか言ってたけど本当に大丈夫かよ?」
「だ、だだだ大丈夫だよ! たぶん……」
言葉が尻すぼみになってしまうほど不安げな様子だ。
終わってしまったことをどうこう言っても仕方がないのに、人はどうしてあれこれ考えてしまうんだろう?
嘆いたところで今更答案用紙を書きかえることなんて出来ないのに。
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