82: ◆D04V/hGKfE[saga]
2015/06/17(水) 01:01:59.88 ID:bJtf1eDj0
「で、お前は? 誰かにあげたの?」
ニヤリと少し意地の悪い顔になっている自覚があった。
雪ノ下は少し視線をこちらから外して窓の外を眺める。何かを憂うような表情に思わず惹きつけられる。
「私は……これから渡すわ」
「へっ?」
表情に見入っていたのと、その予想外の答えに変な声を上げてしまった。
雪ノ下はむっと不機嫌そうに端正な顔立ちを歪めて文句を垂れる。
「私がバレンタインに贈り物をする事がそんなにおかしい? 今年はあげるつもりって部室でも言ったじゃない」
「ああ、そんな事言ってたな」
いけないいけない忘却の彼方だったぜ。刹那で忘れちゃった☆
確かに部室でバレンタインの話題になった時に今年は少し考えているような事を言っていた事を思い出した。
「まあ、あれだな、お前から貰えるやつは幸せもんだな。料理とか上手いしさ」
何となく思ったことを口に出してしまった。
夕暮れが迫り薄暗い室内、エアコンから流れる暖かい空気、何より2人きりというこの状況が心を弛緩させている。
気を許している、のだろうか。
何よりも手拍子の会話が苦手だ。つい言葉の裏を読んでしまうし、真意を悟られないように言葉を濁してしまう。
今まで気の置けない友人は持ったことがない。
だから、わからなかった。
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