87: ◆D04V/hGKfE[saga]
2015/06/17(水) 01:18:47.79 ID:bJtf1eDj0
停留所に到着し、由比ヶ浜が立ち止まる。
自転車の左レバーを握り込むと、キィと微かなブレーキ音が無人の停留所に響いた。
由比ヶ浜はくるりとその場で回ると、俺と真正面に向き合う格好になった。
「ヒッキー、ゆきのんにも貰ったでしょ?」
「……貰ったけど、お前に言ったか?」
正直もうバレンタインの話は勘弁して欲しかったが、聞かれたことには答えよう。
何を?とかそういう煩わしい事は聞かなかった。今日この日という限定ならば、聞かずともわかる。
うーんと考え込むと由比ヶ浜は口を開いた。
「言われてないけど……まぁいいじゃんいいじゃん!」
「何なんだ一体……」
あははとバシバシ肩を叩いてくる。過剰なボディタッチはやめなさい、勘違いが止まらなくなっちゃうだろうが。
そういえばと思いだしたことがあったので、由比ヶ浜の手を制しつつ尋ねる。
「そういや飲み物買ってくるって保健室出てったけど、やたら時間食ってなかったか?
自販機ならすぐ近くにあっただろ。結局飲み物買ってきてないし」
「うえっ!え、えーっと……」
保健室から歩いて1分ほどのところに自販機は設置されているはずだ。そんなに時間がかかる道理はない。
それに戻って来た時に由比ヶ浜は手に何も持っていなかった。
飲み物を全て飲みきってから戻ってきた可能性もあるが、わざわざ寒い屋外でのんびりと飲んで帰って来るというのも季節柄不自然に感じた。
そしてこのしどろもどろな反応。
導かれる答えは決まった。
「……聞いてたのか?」
「ごめんっ!」
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