21:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/16(火) 00:32:31.99 ID:rcfS4V6Mo
櫻子は、昨日の電話のことを忘れていませんでした。
忘れていたようだけど……たまたま目に入った携帯が思い出させたみたいです。それは今の私……お風呂の中で、抜け落ちたトゲの傷跡を見つめていた私にとって、まるで痛みも何もかもを消し去る魔法のように染み渡って行きました。
首振り扇風機の微風が私の首元に届いて涼しいです。お風呂上りの身体は、まだ少しだけしっとりしています。
この気持ちよさ、不思議で小さな高揚感。
初めて櫻子が電話をくれた日と同じような、あの感覚。
櫻子はもう寝るみたいです。眠そうにしてたのに、ちゃんと電話をくれるなんて。
ころんと寝返りを打った楓の髪を撫でて、私も布団の上に横になりました。
昨日はこうして横になっても眠れなかった。緊張のような胸の痛みがいつまでも刺さって、いつもより蒸し暑くて……
今思い返せば、なんで昨日の電話はあんなにも私の心を刺激していたのかしら。どんな内容を話していたかさえ、もうほとんど思い返せませんでした。
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