15: ◆Y3oOA6OkFI[saga]
2015/06/18(木) 18:08:42.72 ID:cNPNwuiyO
「そんな顔をしないでください梨花。それにこの世界は今までの世界とは何か違います、不思議な力であふれているのです」
「そうね。神社に私が見たこともない本があったし、そこから得られた知識は力になるわ」
「そうなのですよ。それにこの村全体も不思議な力で覆われています。この世界は何かあるのですよ」
「……少しだけ、期待してみましょうか」
「そのいきなのですよ、梨花」
もぞもぞと、梨花のいる部屋に敷かれた二枚の布団のうち片方が動いた。
「梨花ー?なにをしてらっしゃいますの、こんな時間に」
金髪の小学生程度の少女が上半身を起こし、瞼をこすりながら梨花に尋ねた。
「少し、夜風に当たっていたのですよ。沙都子、起こしてしまいましたか?」
先ほどとは打って変わって子供っぽい様子で梨花は返事をした。
沙都子は欠伸を咬み殺す。
「いえ、そんなことはございませんの、大丈夫ですわ。それより、まだあの人は帰ってませんの?」
「そうみたいなのです、今日は帰らないかもしれませんね」
「そうですの。全く、心配させないでほしいですわ」
「まあまあ、そう言ってはかわいそうなのです。もとはるもぼくたちのために頑張ってくれているのですよ」
「そうですわね。それより梨花、もう寝ましょう?明日学校に寝坊しますわよ?」
「はいなのです」
梨花は敷かれた二枚の布団のうち誰も寝ていない方の布団へと入っていく。
「おやすみなさいませ、梨花」
「おやすみなさいなのですよ、沙都子」
そう言うと梨花は、ちらっと部屋の隅に置かれた自分たちのものよりも大きい布団へと目を向けた。
ーーー本当に不思議な世界だわ、ここは。
目を瞑るとゆっくりと梨花の意識は沈んでいくのだった。
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