過去ログ - 真姫「にこちゃんと夜空に架かる虹を見るわ」
1- 20
58:名無しNIPPER[saga]
2015/06/17(水) 22:21:15.67 ID:pPEPTbdF0
にこちゃんの回復は周りの医療関係者が仰天するほどめざましいものだった。

わずか1カ月程度の入院の間ににこちゃんは言語能力をほとんど完全に取り戻し、無粋な短下肢装具こそまだ外れないものの杖無しで歩行し、身の回りのことを全て自立でこなすほどになった。

カンファレンスの術後経過報告の時、教授は冷淡に一度頷いただけで次の症例の発表を促した。
でもそれが彼なりの最大の賛辞であることが、私にはもう分かっていた。

学会への発表を促す向きもあったが、私はやんわりと断った。
これは音楽と芸術の女神たちが起こした奇跡なのだ。
それを統計医学の範疇に組み入れてしまっては、どんな医者と患者にとっても公平とは言えないだろう。

驚くほどの数の病棟のスタッフたちが、彼女の退院と私の退職を見送ってくれた。
福々しい顔つきの病棟師長は笑顔で私たちの旅立ちを祝福し、若いナースの何人かは涙ながらににこちゃんと私の手を握りしめた。
かつて私に嫌味を言った同僚たちですらちらりと顔を見せていた。

退院したにこちゃんはもはやほとんど病院に通う必要は無かったが、最後にはほとんど専属で診てくれていた言語療法士のところには一番に顔を見せに行った。
仕事が無くなってしまうことがこんなに嬉しいなんて知らなかった、と彼女は泣き笑いで言ったものだ。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
103Res/68.87 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice