過去ログ - モバP「ユーレイ・アイドル」
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15:名無しNIPPER[saga]
2015/06/18(木) 23:04:43.09 ID:MUuaVWOfO
思考を諦めて会話に耳を傾けると、お医者さんからアタシの容態の説明がされているところだった。

髪の一部が剃られて、おでこの生え際から後頭部まで、ものすごく大きなメスと縫合の痕があるそうだ。

なんでも、頭蓋骨を切って取り外す開頭手術をやったらしい。
以下略



16:名無しNIPPER[saga]
2015/06/18(木) 23:05:14.30 ID:MUuaVWOfO
アイドルとして顔面が無事だったのはよかったけど……

髪が一部とはいえ剃られちゃったら、しばらくはテレビとか雑誌とかには出られないよねぇ。

まあ、或る程度伸びればエクステで誤摩化せるし、手術痕は髪に隠れるだろうから大丈夫かな、たぶん。
以下略



17:名無しNIPPER[saga]
2015/06/18(木) 23:06:07.18 ID:MUuaVWOfO

「治る見込みは……どうなんでしょう」

男の人が憔悴しきった顔でお医者さんに訊いている。

以下略



18:名無しNIPPER[saga]
2015/06/18(木) 23:06:56.85 ID:MUuaVWOfO
「――原因不明の重度昏睡状態にあります。外部からの刺激に、脊髄反射以外の反応を見せません。
 それ以外の体機能はすこぶる健康なものの……この状態が続くと、遷延性意識障害となるでしょう」

「そ、それはつまり……」

以下略



19:名無しNIPPER[saga]
2015/06/18(木) 23:07:32.45 ID:MUuaVWOfO
アタシといえば――未だにあまり実感が湧かない。

もちろん、ショックはショックだけど、アタシは実際ここにいるんだもん。

他の人に認識してもらえるかどうかはともかくとして、自我はきちんとここに在る。
以下略



20:名無しNIPPER[saga]
2015/06/18(木) 23:08:08.77 ID:MUuaVWOfO
……あれ?

何も起こらない。

単に、ユーレイとしてのアタシが、自分の本体をすり抜けてふわふわ浮いているだけ。
以下略



21:名無しNIPPER[saga]
2015/06/18(木) 23:09:16.36 ID:MUuaVWOfO
え……これヤバくない……?

もし、ずっとユーレイのままでいなければならないとしたら……

どうしよう、アタシ。
以下略



22:名無しNIPPER[saga]
2015/06/18(木) 23:11:47.92 ID:MUuaVWOfO

「プロデューサー!」

「状況はどうなってんだ!?」

以下略



23:名無しNIPPER[saga]
2015/06/18(木) 23:12:48.54 ID:MUuaVWOfO
でも、ポートレイトで披露していた可愛さはどこへやら、今は焦りの色しか見られない。

二人は、うなだれる男の人と、ドアに仰々しく書かれた『集中治療室』の文字を見て、絶望に顔を歪めた。

「そんな……まさか……」
以下略



24:名無しNIPPER[saga]
2015/06/18(木) 23:13:37.43 ID:MUuaVWOfO
「お前たち、まだブーブーエスで別件の収録が残っているだろう。社長に引率を頼んでおく。
 ひとまずタクシーで局へすぐ向かってくれ。明日も早いから、終業後は直帰するんだ」

ショックを受けていながらも、監督者らしいスケジュールの把握ぶりでアイドル二人に指示を出す。

以下略



25:名無しNIPPER[saga]
2015/06/18(木) 23:14:37.56 ID:MUuaVWOfO
そんなわがままを、プロデューサーは強い調子でたしなめる。

「お前たちはアイドルだろう! プロだろう! カメラの向こうに、お前たちを待っている人々がいるんだ!
 たとえ仲間が斃れようとも、仕事中は振り返らず前を向け!」

以下略



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