12: ◆8HmEy52dzA[saga]
2015/06/18(木) 23:34:43.12 ID:jPdfGr6q0
05.
そして翌日。
僕はまた、カフェパレへと足を運ぶ。
ただ、前と違うのは、あたしはもう女装をしなくなったこと。
そして。
「昨日も言ったが、咲の意見は優先するよ。元々、そんなつもりでもなかったしね」
「ありがとう、神谷」
看板娘を失うのはちょっと痛いけどね、と神谷は笑う。
最初は、神谷も僕を男だとは思っていなかったからだろう。
その神谷の柔軟さは、この先、僕も見習わなくちゃ。
「……でも、良かったの? サキちゃん」
「『咲ちゃん』はもうダメだよ、巻緒」
あ、と咄嗟に口を押さえる巻緒。
巻緒をロールと呼ぶのはあたしだけだ。
そう。
女装をして歌って踊るアイドル、水嶋咲はもういない。
ここにいるのは、何処にでもいる男子高校生、水嶋咲。
「……すまない、店員さん」
店内を一通り見渡した後、黒野くんが声を掛けてくる。
毅然とした態度で彼の元へ。
「君は新しい店員さんかな……不躾で悪いが、水嶋さんはおられますか」
「……いません」
「……え?」
うん――――これでいい。
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