過去ログ - 万里花を愛でるニセコイSS「ハナヨメ」
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10:名無しNIPPER
2015/06/20(土) 23:20:05.41 ID:EUGrH/Tp0
「……すみません、楽様」
「だから何度も言ってるだろ、無理せずに言え、って」

保健室のベッドに寝かされた万里花は、やはり少し顔が赤い。
エステ帰りなので肌艶はよさそうだが、微かに疲れたような様子が見て取れる。

「あ、あの、楽様、私は本当に大丈夫ですから……。ですから、週末は、予定通り……」
今にも泣きそうな表情で、万里花は楽を見上げながら懇願する。

体調を崩したの原因が週末のためにアレやコレやと頑張りすぎてしまったことにあれば、体調を崩していることを楽に隠そうとしたのも、全ては週末、あのドレスを着るためだった。
万里花がそれをどれだけ楽しみにしていたか、この数日というものずっと傍で見続けていただけに、楽にそれを咎めることなどできるはずもない。

「ったくしょうがねえな……。今日はエステで、明日は何だっけ?」
「えっ? ええと……サウナと、まつげエクステ……」
「それどっちも禁止な」
「ええっ!? そ、そんな……!」

楽は必死で抗議しようとする万里花の額にポンと手を乗せた。まるで、目隠しをするように。

「無茶して週末に寝込んじまったら意味がねえだろ。いいからゆっくり休んで早く元気になること」
でも――と食い下がる万里花に、少し躊躇いながら、言う。

「そ、そんな今更努力しなくたって、橘は今のままで十分……その、可愛いと思うぞ」

きっと赤面しているであろう顔を見られないように、万里花の額に置いた手はどかさない。

「あ、あわわわ……」
万里花も変な声を出している。

ただの気まぐれから始まったことだけど、万里花はこんなにも楽しみにしてくれているなら何とか実現してやりたいと思う。
なんだか自分らしからぬ決意をごまかすように、悲鳴を無視して楽は万里花の前髪をくしゃくしゃと撫でた。


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