過去ログ - 万里花を愛でるニセコイSS「ハナヨメ」
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名無しNIPPER
2015/06/20(土) 23:21:27.93 ID:EUGrH/Tp0
「いいお天気ですわね、楽様。まさに、空前の結婚日和ですわ!」
両手を晴れ渡った青空に突き上げながら万里花が言った。二日間安静に過ごしたおかげで元気を取り戻したらしい。
「まあ、結婚するわけではないけどな」
あくまで結婚式場のパンフレット用の写真撮影なのである。
楽様のいけずー、などと言いながらまとわりつく万里花をあしらいながら式場を目指していると、目的の建物の前に誰かが立っているのが見えた。
「あ、坊ちゃん!」
そう言って、何やら慌てた様子で駆け寄ってきたのは、式場で働く例の組員だった。
「どうしたんだ、そんなに慌てて? 俺たち時間通りに来たと思うんだが」
「い、いえ、それがその、実は……」
「何!? モデルのバイトをキャンセルしたい!?」
思わず楽は大声を上げてしまった。
万里花は驚きのあまり、両手を口に当てたまま固まっている。
「す、すみません、坊ちゃん。実は急にうちの式場にスポンサーがつくことになりまして……例の宣伝もそこの仕切りになってしまって、何でも今流行りのアイドルだか何だかをモデルに使わないといけなくなったとかで……」
申し訳なさそうに楽に事情を説明する組員だったが、そんなに簡単に納得できる話ではなかった。
「でもお前、俺たちは先週から色々と準備をして……」
「そ、それは本当に申し訳ないことで……。その、支配人からバイト代だけは出しても構わないと言われてますんで……」
そう言う彼に悪気がないことはわかっている。だけど、楽には我慢することができなかった。
「金の問題とかそういう話をしてんじゃねえよ!」
普段になく感情を露わに声を荒げる楽に、隣でじっと話を聞いていた万里花の体が震える。
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