過去ログ - 万里花を愛でるニセコイSS「ハナヨメ」
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16:名無しNIPPER
2015/06/20(土) 23:27:22.77 ID:EUGrH/Tp0
楽の身に何かあったのだろうか。
店を飛び出して行ったときの様子からすると、彼のことだからどんな無茶をしていないとも限らない。

不安な考えが脳裏をよぎったが、万里花の迎えにこの二人を寄越す辺り、それほど切羽詰まった状況とも思えななかった。
万里花は楽のことを信じて、とにかくこのまま一刻も早く楽の元に向かうことだけを考えることにした。

「……ところで本田、楽様はどうやってあなたに連絡を?」
「……先日のキリバス共和国からの帰り、一条さんの方から私の連絡先を知りたいとの申し出がありまして」

「何ですって!?」

万里花の叫びに何だって!?という右助の叫びが重なる。
動揺の余りハンドルを切り損ねたのか車体が大きく揺れる。
遠心力で危うく万里花がドアに頭をぶつけそうになったところを本田が片手で受け止めた。

ギロリと本田が右助を睨みつける。
お嬢様に何をしているのだ、という無言のメッセージを受け取り、右助はすみませんと呟くと前を向いて運転に戻った。
心なしか肩が震えている。気の毒に。

「……お嬢様に何かあった時のため、です。咄嗟に私に連絡を取るか、もしくは私から一条さんにお知らせするか」
「そう、でしたの……」

鈍感なクセして時々鋭いところが楽にはある。楽なりに、万里花のことを気遣ってくれていたのだろう。
「それならそうと言ってくださればいいのに……」

楽と別れてからまだ二、三時間ほどしか経っていないというのに、万里花は早く楽の顔を見たくてたまらなくなっていた。
そんな思いを汲み取ったかのように、窓の外の景色が流れるスピードが少しだけ速くなった。


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