過去ログ - タイトルを書くと誰かがストーリーを書いてくれるスレ part3
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414:名無しNIPPER
2015/10/04(日) 13:42:47.90 ID:MuA3KESeo
>>398「パンドラの箱庭」

私の住む街には<パンドラの箱庭>という玩具屋があった。

私がその店に立ち寄った際、店主は自らの店を<オモチャ箱>と評した。

彼は誇らしげな表情でママゴト用の玩具を手に取ると、こう言った。

「オモチャなんてもんはね、我々にとっちゃたただの箱庭ですよね。
でもね、この箱庭の中には子供達の夢が詰まってる。
私はこの箱庭を通して子供達に夢を与えることが出来るんです。
子供に夢を贈ること、それが我々大人に残っている最後の希望だと、そんな風に考えましてね」

だからこの店をパンドラの箱庭という名前にした、と彼は語った。

相槌代わりに「ふぅむ」と頷いたあと、私はこう答えた。

「パンドラの甕(かめ)だよ」

きょとんとする店主に向かって私は再度言った。

「パンドラの箱と言うのは誤訳なんだ。本来は、パンドラの壺とか甕とか、そういう意味だよ」

はぁ、と気の抜けた言葉を返してくる店主に対し、

「パンドラの甕の箱庭、という店名にすれば完璧だった。子供に正しい知識を贈れた」

と私は話を締め括った。

しばらく沈黙した後、店主は言った。

「お前なんか嫌いだ」

そしてそれから、私と玩具屋の店主の仲は険悪なものとなった。

不思議なこともあるものである。


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