過去ログ - タイトルを書くと誰かがストーリーを書いてくれるスレ part3
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471:名無しNIPPER[sage]
2015/11/04(水) 21:48:57.95 ID:sQhTx+oEo
>>314「俺とお前のぼうけんのしょ1」

「――へえ、君って僕のこと、好きだったんだ?」

高圧的な喋り方。
彼女は自分のことを『僕』と呼ぶ。
突き刺さるように鋭い言葉が、俺の頭に突き刺さる。
緊張の極みに立たされた俺の脳内には、場違いなほどピコピコ音の効いたドラクエのBGMが流れている。
言うなら、『りゅうおう』を相手にしている気分だ。

「具体的に聞いて良い? どこが好きなの? どれくらい? いつからなのかな?」

彼女は、サディスティックである。
相手の恥ずかしがる姿を何より好み、相手の嫌がることをするのが大好きである。
……そんな彼女に、俺は何故惚れてしまったのか。分からない。

「……ちょっと、そんなまじめに言わないでよ、恥ずかしいじゃないか」

言われるとおりに好きなところを言い連ねると、彼女はその言葉を半ばあたりでさえぎった。
それでも、俺は言葉を続ける。

「やめてってば、こそばゆい」

だんだんと目が鋭くなり、ゴミを見るような視線へと変わる。
特段、快感を感じたりはしない。俺はいたってノーマルだ。

「……ふふ、冗談だよ。さ、続けて?」

悪戯に笑い、彼女は微笑む。

「……も、もう、良いよ……で? 僕と付き合いたいの?」

また少しして、彼女ははにかむ。しかしすぐに冷たい表情に戻って、そう言う。
Yes、即答する。

「……今、僕がどうなってるかも知ってる? これからどうなるかも?」

首を縦に振り、頷く。

「……それでも、本当に良いのかい?」

少し、彼女の声が震えた気がした。
しかしその面持ちは至って真剣で、威圧感を放っている。

ゆっくりと、頷く。

「……そっか。そっか……うん、そっかぁ……」

目を伏せ、彼女は視線を手元に落とす。
一瞬、その瞳が潤んだように見えた。
そして、今にも泣き崩れそうな顔で、彼女は言った。

「……はい。こんな僕で、良ければ」

彼女らしくない、か細い声。
その頬には、一筋の涙が流れていた。


――彼女は、重い病にかかっていた。これらは病院の個室での出来事である。
あの時、彼女は相当な危篤状態だった。彼女は今も病院に通い続けている。
いつ症状が再発するかも分からない。完治は望めないそうだ。
彼女はそれでも、俺の告白を受けてくれた。彼女も俺も、今は幸せをかみ締めている。
しかし、いつどんなときに彼女が死んでしまうかは、分からない。
ふとした出来事で再発するかもしれない。その恐怖は、常に俺に付きまとう。


俺と彼女のぼうけんのしょは、いつ消えてしまうんだろう?



(ドラクエ要素はほぼ)ないです


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