過去ログ - タイトルを書くと誰かがストーリーを書いてくれるスレ part3
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76:名無しNIPPER
2015/07/04(土) 20:25:19.80 ID:S0Vq9joeo
>>63「空想が全ての世界で」

ボクらの世界には空が無かった。
底無しの闇だけが広がっている。
それは汚染された大地から逃れるための代償だった。
この地下シェルターへと移り住んでからもう何十年も経っているという。

――いつも何かを怖れていた。

閉塞した空気が、機械のような生活が、無機質な壁を見つめることが、終わることなく続いた。
生きる理由がわからず、ただ死なないために、決められた日々を過ごし、人工食品を喉に押し込んだ。
それでもボクらは生き続けた。
たとえ生きる事に価値を感じなくても、それは死ぬことの理由にはならなかったからだ。

まるで虫だな、と第三区の老人達は語っていた。

わずかばかりの娯楽と言えば何かを空想することだけだった。
かすかに盗み見た地上の写真を、光景を、無数に継ぎ足すようにイメージしていく。
空はどんな風に見えたんだろう?
もうかつてのように青く見えないようだけど、ボクのイメージする空はいつも真っ青なアオだった。


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