過去ログ - タイトルを書くと誰かがストーリーを書いてくれるスレ part3
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[saga]
2016/03/03(木) 23:12:42.96 ID:lLJ9XJv3o
>>787
伊織「ですが本当によかったのでしょうか? 私もあなたの娘さんと同じ穴の狢、金にたかる蝿に違いはないのですが」
幽霊『ほっほ、青二才がワシの目を誤魔化せるとでも思うたか。 私利ではあるが私欲ではないのじゃろう?』
伊織「…………」
幽霊『なあに、若造が年寄りの顔色をうかがうな。 そいつは熊のオマケじゃ』
伊織「……ずいぶん豪華な抱き合わせですこと」
すでに満腹を訴えるアタッシュケースの口を強引に閉じ、埃と汗で黒ずんだ手袋を脱ぎ捨てる。
そしてたった今ほとんどの遺産を盗まれたマヌケを呼びに立ち上がると、今にもつまづきそうな足取りで家主が飛び込んできた。
家主「あっ、あのっ! 父の遺品整理は終わりましたかっ!?」
伊織「はい、こちらに指定された遺品を包装しております。 リストの方をご確認ください」
家主「そ、そうですか。 それはよかった、はは……」
伊織「―――それと」
家主の笑顔がびくりとこわばる。 後ろめたいものを隠そうとする人の表情はいつもワンパターンでつまらない。
伊織「整理のかたわらで、こんなものを見つけました。 盗聴器と隠しカメラのようです」
伊織「誰が何のためなのかは存じませんが、あなたのお父様は監視されていたかもしれません」
伊織「見つかってよかったですね?」
訂正しよう。
両目を可動域の限界まで剥き出し恐怖に歪む人の顔は、たやすく忘れられないほど滑稽だった。
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