過去ログ - タイトルを書くと誰かがストーリーを書いてくれるスレ part3
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89:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/06(月) 15:16:39.23 ID:VKv9TZoQO

キター!
サイリウムサイリウム!
ゲボクニナッチャウー!

「……ふぅ」

こうして舞台袖からアイツを見守るようになってからどれくらい経ったのだろう。

世界を救うために勇者の血を継ぐ俺と、今舞台で歌とダンスを披露している魔王は互いに殺しあう宿命にあった。

だが最後の決戦、互いの血が共鳴し合った結果。
漏れでた魔力が暴走し、失ったとされた時空転移魔法が発動してしまった。

そして魔力の渦に巻き込まれた俺達はこの剣も魔法も無いこの異世界に飛ばさてしまい……。

「魔力はスッカラカン……この世界で生きざるおえなくなってしまった」

互いにこの世界での生き方が分からない俺たちはいがみ合いながらも、少しずつこの世界の事柄を学んでいった……まさかアイツがアイドルとしてスカウトされるとは思わなかったが。

今では勇者である筈の俺がアイツのマネージャー、そして魔王であるアイツは一世を風靡するトップアイドル。

もちろん帰りたいと願った事もある、けどあんな風に純粋に楽しそうに笑う魔王を見ていたらこの生活も悪くないと思えるようになってきた。

元の世界に戻ってまた殺しあう関係になるくらいならこの世界に骨を埋めるのも悪くはないかなぁ……。

舞台からちらりとこちらを見て微笑むアイツに俺も笑みを返してやった。

───

初めてこの世界に来たとき、我は絶望したのを覚えている。
見知らぬ世界に飛ばされたと思ったら、あれ程潤沢だった魔力が全て消え失せていたのだ。

おまけに憎き因縁の相手と一緒となれば数百年生きた我と言えど冷静には慣れなかった。

魔力が無い以上、同じ手段で帰還は無理だと悟り
死のうとも思った、ここで惨めに生きていく位なら魔王としての誇りを持ったまま消えていった方がマシだと。

ヤツは止めたが、真に我を止めたのは純粋な死への恐怖と生きたいという生存本能で、それが我を更に惨めにさせた。

だが、そんな我を勇者は支えてくれた。
我を殺しにきたアイツが我を生き永らえさせてくれた。

そして我は決意した、この世界で生きていくと。


「ここまで付き合ってくれてありがとー!! 次が最後の曲になっちゃうけど、みんなの気持ちたくさん貰っちゃったから!最後まで元気にいくよー!!」

勇者と世界を学ぶうちにアイドルという職業にならないかとスカウトされた。
ま、まぁ我の美貌をもってすれば当たり前の事かも知れぬが……!
心配性なヤツは「近くで見てないとハラハラする」と言いだし、我のマネージャーになった。
勇者を側近にしたと報告すればしもべ達はビックリするだろう、ふふふ…。

だがこのアイドルというのも悪くはない。
我の表情、歌、踊り……我の一挙一動に観衆共が魅了されてきるのが分かる。

なによりこの心地よい疲労感。
魔王城にいた頃では到底味わえないであろう感覚に安らぎさえ感じていた。

ちらりと舞台袖を伺う。
いつもと変わり無く、アイツが見守っている。

勇者よ、貴様がいなければ我はここに立つことは無かっただろう。
だからこれは貴様へのサプライズだ。
有りがたく受け取っておけ。

「この曲は今日のための書き下ろし! 本日初公開の新曲です♪それではお聞きください!」


『Thank You Brave man!』


全てが終わり楽屋に戻った後、汗だくになった我はアイツに思いっきり抱き締められた。




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