過去ログ - 【八幡】伝好雪花(でんこうせっか)【雪乃】
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名無しNIPPER
[sage]
2015/06/21(日) 09:37:07.26 ID:gsgUNXNF0
◇
その日から、毎朝、雪ノ下は俺を直接起こすようになり、今まで以上に甲斐甲斐しく
俺の世話をやくようになった。
そして、ときおり雪ノ下は黙り込んで、俺をジッと見つめて、何か、もの問いたげな表情をするようになった。
朝、起こした後、食事のあと、出かける前、帰ってきたとき、
そして夜、雪ノ下の部屋へ送っていったとき・・・
八幡「・・・」コツコツ
雪乃「・・・」コツコツ
いつものように、二人で特に何も話さずに歩く。
そしていつものように、雪ノ下のマンションの前で歩みをとめる。
しかし、雪ノ下は動かない。
雪乃「・・・」ジー
八幡「・・・」
ジッと俺を見つめて、物欲しげな、切なそうな顔をする。
雪ノ下は動こうとしない。
そして俺も動けない。
雪ノ下の目が、その表情が、言葉より雄弁に語っている。
「ホシイ」と
そして、俺も「ホシイ」。
陽乃 <君は雪乃ちゃんに何を捧げられるのかな?>
その言葉が、頭にチリチリと掠めながらも、キスだけなら・・・キスだけなら・・・
と欺瞞で罪悪感をごまかして
俺は雪ノ下の唇をゆっくりと塞いだ。
八幡「んっ・・」
雪乃「ふっちゅ・・・」
唇と唇を合わせるだけの、本当に軽いキス。
唇が離れたあと、雪ノ下は目を細め、とても幸せそうな顔をして、
オデコを俺の胸に押し当て、ハニカミながら、ささやくように言った。
雪乃「オヤスミナサイ」
その夜から、キスは雪ノ下の当然の権利としてカテゴライズされてしまった。
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