過去ログ - 桃華「風評被害ですわ!」楓「そうでしょうか?」茄子「♪」
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19: ◆Freege5emM[saga]
2015/06/21(日) 20:18:49.77 ID:X8mYpxHro

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ああ、プロデューサーさんですか。お疲れ様です。
そろそろいい時間ですけれど、ご帰宅されないんですか?

……まぁ、ここならわざわざ家に帰らなくても、全て揃っていますけどね。



摩天楼の最上階、高級家具を整然と並べた部屋。
水族館と同じくらい大きなガラスの向こうからは、東京の夜景が一番上から見られる……。

最初にプロデューサーさんとこの部屋へ入った時は、
ハリウッド映画か何かかと思いましたが、案外すぐ慣れてしまうものなんですね。

私とあなたで作らせた、そのオートクチュールも、最初はあなたの方が着られてましたのに。
よく馴染んだもので……お似合いですよ。



本当に、あなたはあっという間にここまで上り詰めました。
私と出会った頃のあなたは、プロデューサーなのに、
ここから遥か下のアスファルトを這いつくばって、汗だくでスカウトに走り回っていて。
隔世の感がありますね。



本当に、あなたは変わった。変わってしまった。



そんな煙たそうな顔をしないでください……別に、思い当たらないのであれば構いません。
私も、今更説教をしに来たのはございませんから。
あなたも、もう聞き飽きてますでしょう? 私もなんですよ。

今のあなたは、もうたくさんかな……と思ってます。

ただ、今夜だけは……私があなたに送る、最後かもしれない言葉なので、
どうか心の片隅にでも置いてくだされば、と思います。

それが叶うなら、今までの私の言葉は、全て忘れても構いませんから。



あなたは目覚ましい勢いでこの世界を駆け上がりました。
一度、二度、三度ぐらいなら、ただのまぐれと片付けられる大成功も、
ここまでくれば誰もが見上げる実績です。

ただ、世の中には、何をやっても上手くいく時期と、
何をやっても上手くいかない時期があります。

それが糾(あざな)える縄ぐらい平等に訪れるかは、私も知りませんが……
何をやっても上手くいく時期、というものは、いつか終わります。
あなたはまだ若い……その『いつか』は、きっと死より先にやって来ます。

その時までに、あなたに『思い出して』いただければなぁ、と思います。



ふふ、もうよろしいのですか、私のお話。
そうですね。幸運の女神だなんて呼ばれたこともある私が、
不吉なカッサンドラーの真似事なんて似合いませんよね。


では、私はお暇いたしますプロデューサー。
私がこの摩天楼の敷居をまたぐことは、もうないでしょう。

願わくば、あなたもご壮健で……




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