過去ログ - 律子「待ちくたびれたプロデューサーへ」
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10:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/23(火) 02:07:25.87 ID:O6N65gcso
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 朝から雨が続いていた。
 アスファルトに灰色の根を伸ばすような空はいかにも憂鬱だったけれど、
レッスンへ集中できない理由とするには弱々しい。

 スポーツドリンクの缶のプルタブを意味もなく弾きながら、こめかみに垂れてくる汗を手探りで拭う。

 これで最後、最後なんだから。頭で繰り返すたび、気味の悪いくらい醒めていく。
 それは眠れない夜に似て、目を通る景色は、粘度の高い暗闇に輪郭から沈みこむように見えた。

「調子が悪いなら、今日は切り上げましょうか?」

トレーナーさんが言うのへ、私は首を横に振った。

「いえ、大丈夫です。続けてください」

 私は未開封の缶を置いて、鏡の壁の前へ立った。そして、パシッと自分の頬を叩く。

「これで、最後なんだから」


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