過去ログ - 律子「待ちくたびれたプロデューサーへ」
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16:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/23(火) 02:10:56.29 ID:O6N65gcso

「私、なんだか、おかしな勘違いをしちゃったな」

 ほろ苦さにもう一度笑う気力はなく、今日まだ途切れない雨を傘で断つ。
 踏みつけた水たまりは思ったよりも柔らかく、スニーカーの布地に染みる冷たい感覚が足を引っ張った。

 彼は、プロデューサーは私のことを、どう思っていただろう。
 せいぜい、からかいがいのある同僚といったところか、それとも世話のやける後輩か。
 私が弱音を吐くと、プロデューサーはいつも励ましてくれた。
 けれど、本当のところ、私は弱かっただろうか。

 ただ甘えて、立ち向かうことから逃げていただけで。
 人手が足りなくて、他人に選ばれたから、辞めるわけにもいかなくて。

 私はずっと、迷っていたらプロデューサーか手を引いてくれると、思っていたのかもしれない。
 逃げたら追いかけてきてくれると。

「カッコ悪いな」

 私は傘の柄を撫で、それから、よし、と一人で頷いた。
 彼とはきっと、笑顔で別れよう。最後なんだから。


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