43:名無しNIPPER
2015/06/29(月) 11:44:15.99 ID:BVZ5thB50
「では、軽音部も兼部されているんですか?」
思い返せば、いずるが来れない日もあった。
彼女の来れない日は、口実が使えないので俺たちも部室には行けなくなる。
44:名無しNIPPER
2015/06/29(月) 11:44:48.47 ID:BVZ5thB50
いずるは片目をつむって指を立て
「わたしは決められたレールの上は走りませんから」
45:名無しNIPPER
2015/06/29(月) 11:45:30.40 ID:BVZ5thB50
続いて千反田の番。
高校生のガールズバンドの曲だった。
秋に歌うには少し季節外れで、浴衣姿、打ち明け花火といった夏を連想させる歌詞にはおかしみさえ覚える。
46:名無しNIPPER
2015/06/29(月) 11:46:52.25 ID:BVZ5thB50
と、ジュースを早いペースで飲み続けていたせいか雉を撃ちたくなった。
が、これから歌う人間からすれば自分の番で席を外されるのは気分がよくないかもしれない。
そう考えたがいらぬ心配のようだ。伊原の番らしい。
47:名無しNIPPER
2015/06/29(月) 11:48:31.90 ID:BVZ5thB50
声かけて部屋を出る。トイレへ歩を進めながら、
もう一度、いずると話した千反田の意図について考えをめぐらせる。
千反田の表情を見る限り物悲しげな様子は見られないし、雰囲気も和やかなだ。
48:名無しNIPPER
2015/06/29(月) 11:49:22.86 ID:BVZ5thB50
カラオケの最中、おれは一つだけ仮説を思いついた。
千反田はなんらかの事情で古典部をやめようとしているというもの。
千反田の歌う姿を目にしてその可能性は崩された。
49:名無しNIPPER
2015/06/29(月) 11:50:44.46 ID:BVZ5thB50
「あれ〜 省エネくん?」
トイレからでた直後、背後から声がする。振り向くと柔和な笑みを浮かべた女が手を振っている。
「よう、クワガタ女」
50:名無しNIPPER
2015/06/29(月) 11:53:00.46 ID:BVZ5thB50
「久しぶりー。こんなとこで会うなんてねー」
二年生の頃、倉橋とは班が同じだった関係で行動を共にした。
放課後を一緒に過ごした時間は古典部を除けばもっとも長い。
51:名無しNIPPER
2015/06/29(月) 11:53:37.08 ID:BVZ5thB50
それからしばらく共通の知り合いの近況を報告し合い、
「じゃあ省エネくん、また今度お話しよ」
ひらひらと手を振って去って行く。
52:名無しNIPPER
2015/06/29(月) 11:54:13.20 ID:BVZ5thB50
真夏の太陽のような笑顔がこちらを向く。俺は問う。
「季節外れの催しものを開くのはどんな事情があると思う?」
人差し指を口元にあてて、目線は虚空をさまよっている。質問が分かりにくかったか。
53:名無しNIPPER
2015/06/29(月) 11:54:45.04 ID:BVZ5thB50
「省エネくん、それ頭固いよー」
「教えてくれないか」
「何も卒業だけが別れってわけじゃないでしょ。 人それぞれの別れっていうのがあるはずだよー」
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