過去ログ - 奉仕部の三人は居場所について考える
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118:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/06(月) 21:55:22.37 ID:UuQpesv2o
あたしは振られるのが怖いんじゃない。振られるかもしれないってことは、考えたくないけど頭にはある。
もし振られたとしても、受け入れられたとしても、どっちになっても失うかもしれないという事実が怖いから、あたしは動けない。
あたしは失いたくない。
119:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/06(月) 21:56:12.09 ID:UuQpesv2o
「おー、隼人くん。行くべー」
「またな、優美子、姫菜、結衣」
男子はあたしたちに別れを告げて颯爽と部活に向かった。残された優美子がぽつりと呟く。
120:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/06(月) 21:57:33.88 ID:UuQpesv2o
自慢の髪を触りながら話す優美子の顔は、ちょっとだけ拗ねているように見えた。
「どうしたんだろね隼人くん。いつもならそういうの進んでやったりはしないのに」
確かにその通りだけど、姫菜は深く考えているのかいないのか、首を傾げてなんでもないことのように話す。
121:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/06(月) 21:58:28.84 ID:UuQpesv2o
生徒会の挨拶のとき、隼人くんはヒッキーにいろいろあって、と言っていたけど、そのいろいろの中にゆきのんの存在があることはほぼ間違いないと思ってる。
断片的な話しか聞いてないから具体的にはわからないけど、ゆきのんと隼人くんの間には何かがある。いや、あったと言うべきかもしれない。
ゆきのんと隼人くんの態度を見る限り、二人はこれまで敢えて接触をしないようにしてきたように思える。
122:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/06(月) 21:59:21.98 ID:UuQpesv2o
「あ、優美子。あたしそろそろ部活行くね。また明日ー」
「うん、またね結衣」
「じゃーね。姫菜ー、あーしらも帰ろっかー」
123:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/06(月) 22:00:05.35 ID:UuQpesv2o
「うあわわっ」
「っとぉ!」
走っていたその勢いが止まりきらず、ぶつかる寸前でヒッキーに肩を押さえつけられるようにしてようやく止まった。
124:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/06(月) 22:01:07.99 ID:UuQpesv2o
ていうか、あの、いつまで肩掴んでるの……。
「行ってないだろ、ちゃんと待ってる」
「あ、いや、うん……。わかったから、手……」
125:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/06(月) 22:02:20.65 ID:UuQpesv2o
「ううん、いいよ。止めてくれてありがと。でもさー、ヒッキー教室で待ってくれてると思ったんだよー」
「それはその、なんだ……。俺なんかと一緒に出るの見られると、お前に迷惑かなと」
ヒッキーは本当に申し訳なさそうに話している。
126:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/06(月) 22:03:13.46 ID:UuQpesv2o
しかも恥ずかしいとか、なにそれ。少しだけ頬を膨らませて愚痴っぽく話すことにした。
「ふーん?あたしといるの見られるのが恥ずかしいんだ……。あたしは別に、恥ずかしくないんだけどな……」
「いやちが、その…………悪い。なんでもない。忘れてくれ……」
127:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/06(月) 22:04:13.54 ID:UuQpesv2o
両方の掌を優美子に向けてぶんぶん振りながらこの場を言い繕う。なんでこんなに必死なんだろう、あたしは。
「ふーん……。そう。ヒキオ、ちょっと」
優美子は顎でヒッキーを呼びつけ、二人だけでヒソヒソと話を始めた。
128:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/06(月) 22:05:25.49 ID:UuQpesv2o
残されたヒッキーも力のない別れの挨拶を呟いて、あたしの傍にやってくる。
「じゃ行くか」
「あ、うん」
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