過去ログ - 奉仕部の三人は居場所について考える
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747:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/25(金) 00:27:21.70 ID:vhSqVbECo
「ははっ。それがいろはの、素の顔?」

少しだけ驚いた。葉山先輩にバレてないとは思ってなかったけど、使い分けていることに言及してくれたのは初めてだったから。

「そう、なんでしょうか。よくわかりません」
以下略



748:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/25(金) 00:28:28.64 ID:vhSqVbECo
話すときに意識して唇を尖らせた。ちょっとだけ怒ってるんですからね、という意思表示だ。

「わたしの気持ちはわたしが決めます。そんな、先輩には素を見せてるから好きだとか、惹かれてるとか、そんな単純じゃないです、わたし」

「……悪かった。俺が一方的に。醜いな、俺は」
以下略



749:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/25(金) 00:29:13.04 ID:vhSqVbECo
これはただの、葉山先輩はわたしの憧れで、追いかけていたい存在であって欲しいと思う、わたしのワガママ。

「何をだ?」

「わたしだって傍にいたんですから。葉山先輩が誰にどんな感情があるかなんて、ちょっとはわかってます」
以下略



750:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/25(金) 00:30:20.81 ID:vhSqVbECo
「そうかもな。たぶん、あれから初めて自分で選んだことだから、だろうね」

「よくわかりませんけど……。でも、そんなのは多かれ少なかれ、誰にだってあるものですよ。わたしなんか、先輩達みんなに嫉妬してます」

先輩たちはみんな凄くて、かっこよくて、眩しくて。わたしの憧れの人達。
以下略



751:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/25(金) 00:32:18.31 ID:vhSqVbECo
「葉山先輩は、なんでみんなと、その……壁を作るんですか?もっと踏み込んでみようとか、思わないんですか?」

「……どうだろうな。俺は特定の誰かじゃなくて、常にみんなの葉山隼人であろうとしてる。いつからかそれしかできなくなってただけなんだけど、まだやめる気はない、かな」

そう話す葉山先輩の横顔は、とても寂しそうに見えた。何をなのかはわからないけど、諦めてしまった顔のように見えた。
以下略



752:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/25(金) 00:34:32.64 ID:vhSqVbECo
「そんなの……寂しいです。わたしは、葉山先輩の……。葉山先輩と……」

「すまない。俺はそういうのは、まだ……」

葉山先輩は辛そうに顔を伏せながらわたしの言葉を遮ろうとした。
以下略



753:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/25(金) 00:35:49.00 ID:vhSqVbECo
普段なら絶対に聞けない、絶対に答えてくれないことを聞くんだ。

「どうするのがいいのか、わたしもそういうのから逃げて生きてきたのでよくわかんないんですが、聞きたいことがあります。葉山先輩……好きな人、いますか?」

甘えた猫なで声じゃない。上目遣いもしない。わたしがわたしとして聞く、初めての本気の質問。
以下略



754:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/25(金) 00:36:33.63 ID:vhSqVbECo
そこまで考えてなかった、待ってください、まだ心の準備が……。

「その人のイニシャルは、Yかな」

まったく予想していなかった曖昧な答えに拍子抜けしてしまった。
以下略



755:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/25(金) 00:37:46.15 ID:vhSqVbECo
「そう、ですか」

わたし自身が好きなのかわからなくなってきたし、ちゃんと想いを告げたわけじゃないんだけど。

たぶん、わたしは今、葉山先輩に振られたんだろうな。そこまでいかなくても、少なくとも告白とかしてもダメなんだってことを教えてくれた。
以下略



756:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/25(金) 00:38:46.69 ID:vhSqVbECo
「いろはは素敵な子だ、素直にそう思う。もし、もっと早くから君と出会っていたら、出会う順番が違っていたら、きっと俺は……」

「はっ、もしかして好きになってたって言おうとしました?わたしも葉山先輩のこと好きだと思ってたんですけどよくわからなくなったのでまだ付き合わないでもらっていいですか、ごめんなさい」

…………しまった。こんなこと言うつもりなかったのに。わけわかんなすぎる。付き合わないでくれって、何様なんですかわたしは。
以下略



757:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/25(金) 00:39:56.84 ID:vhSqVbECo
「っはー。可笑しかった。いや、どうしたも何も……いろはが面白すぎて。まだ付き合わないでくれって、そんな日本語があるなんて思いもしなかったよ」

「あ、まぁ……そうでしょうね。わたしも言うつもりなかったですし……。なんかもう自分がどんな人間なのかよくわからなくなってきました」

「くっく……。じゃあ教えようか。いや、聞かせて欲しい」
以下略



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