過去ログ - 【艦これ】神通「姉さん、朝ですよ!」川内「嫌だあああ起きたくない!」
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25:名無しNIPPER[saga]
2015/07/01(水) 21:56:15.34 ID:+srPNJQq0

 夕方。
 訓練場の桟橋に腰かけていた川内の元に皐月が歩いてきた。

「よくここがわかったね」

「那珂ちゃんさんに聞いたらここだろうって」

「那珂がその呼ばれ方聞いたら怒るよ?」

「さっきもさんはいらないって言われました」

「だろうね。今は任務じゃないんだから普通に話してよ」

「……うん。隣、座るね」

 皐月は川内の横に腰かけると、手にしていたラムネを一本川内に差し出す。
 川内は少しだけ笑いながら「ありがと」と包帯で包まれた手で受け取った。

「川内さんはドックに行かないの?」

「後でね、今は反省会をしてるからこのまま。ん……ん……ぷはぁ」

 景気よくぽんとラムネのビー玉を落とすと、川内は喉を潤していく。

「はは、今日はごめんなさい。僕が……僕が敷波を抑えられなかったから」

 無理した笑顔から少しだけ滴がこぼれる。
 そんな皐月を川内は横目で見ながら、皐月の頭を撫でた。

「皐月はちゃんと旗艦してたじゃない。軽巡に発砲できる駆逐艦は中々いないよ。君は強いね」

「僕は……ヒック……強くないよ。川内さんの方が」

「私は弱いよ。弱いから皐月も泣かしちゃったね。神通にまた鍛えて貰わないと」

 自傷気味に笑うと、川内は皐月を抱き寄せた。

「私はね、君ら駆逐艦には出来るだけ強くなってほしいの。私が最低ライン。私を早く超えて行ってね」

 その言葉に皐月は声を荒げた。

「川内さんは! 川内さんはいつも自分だけそうやって……僕は知ってる! 川内さんがわざと駆逐艦に嫌われてる事も、わざとできない振りしてる事も……でも、川内さんがどうしてそんな事しているのかは誰に聞いてもわからないし、教えてくれない……」

 川内は黙って皐月の言葉に耳を傾けている。

「川内さん、僕じゃまだダメかな。僕がまだ弱いから川内さんの事教えてもらえないの? 僕は嫌だよ。誰かの為に誰かが泣いてるなんて嫌だよ……。そんなの間違ってるよ」

「皐月は優しいね。私はそんな言葉かけてあげられないよ。でもそれは皐月の勘違いだよ? 私は強くもないしわざと嫌われているわけでもないし、できない振りもしていない。そんな事神通の訓練でできるわけないじゃない」

 はははと川内は茶化す。

「皐月はそれだけみんなの事ちゃんと見てあげられるんだから、君はそのまま進んでいきな。こんな所で振り返っている場合じゃないよ」

「川内さんは、バカだ」

「そうかもね。私もそう思うよ」

 そのまま声を上げて泣く皐月が落ち着くまで、川内は頭を撫で続けた。
 二人が宿舎に戻る頃にはもう日は沈んで夜になっていた。




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