131: ◆jSMhOnCsDM[saga]
2015/07/21(火) 23:40:25.46 ID:rkG+liIa0
あの言葉の意味を、ずっと考えていた。いや、でも、きっとそのままの意味なのだろう。彼女は大胆にも、秘書であるこの私に『提督に近づくな』と言ってきたのだ。わかりきっていたのに真正面から鈍器で思い切り殴られたような、そんな感覚。予想しきっていたのに宣戦布告され、それと同時に奇襲攻撃で大打撃を受けたような、そんな状況。
考えれば考えるほどわからなくて、自らが疲弊して蝕まれて、それを肌で感じるごとにどんどん寒くなっていく。暑くて少し汗が出ているほどなのに寒い。冷えて固まったのだろうか?
人肌が恋しい。提督が恋しい。今すぐに会いたい。
提督の細めの腕で抱き締められたら、私は安心するでしょう。
提督の静かな声で話しかけられれば、安心のあまり眠くなってしまいます。
優しく撫でられれば、私はすぐにでも眠りに落ちるでしょう。
そのまま私は夢を見ます。
夢での私はまた、提督の腕の中。
安心しきった表情で完全に体を預けて。
その私を、提督は静かに撫でてくれて。
やはり眠くなった私に気づくと、布団の中でも撫でてくれて。
これは夢じゃない。現実に起こっていること。だって、こんなにも感覚がしっかりしている夢なんてないですから。
そう思うと、いつの間にか私の頭がクリアになって、
優しい手が乗っているという感覚だけが残ります。
目を閉じるほどにみるみるクリアになって。
すぐ目の前には提督がいて、そして何か言葉をかけてくれる。
それを聞く度に、私はまた眠りに、夢に落ちていくのです。
────夢?
いや、これは現実。夢と思っていること自体が夢。絶対にそう。それしか考えられない。それしか考えたくない。
でも……………………。
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