407: ◆jSMhOnCsDM[saga]
2015/09/05(土) 22:11:15.53 ID:mBi3XWUf0
もう言い訳なんてしても無駄なことはわかっている。きっと本気にされずに、軽く笑って流されるだろう。
それでも、色んな手段を試してみたつもりだ。
帽子を脱いで過ごしてみたこともあった。ちょっとわざとらしく差し出してみたこともあった。躍起になってたくさん活躍したり、秘書に名乗り出て随分と遅くまでお手伝いしたり。褒めてもらえばいつかは撫でてもらえると思って、必死になっていた。
でも意識してやったことはぜんぶ不発。司令官は、撫でると私が怒ると思っているみたい。
べつに撫でるから怒るわけでもないし、そもそも怒っているわけではない。ただ……、
人前で撫でられるのが恥ずかしいだけ。たったそれだけのプライド。いっそ捨てちゃえば楽なのかも。
夕立はいいな、といつも思う。人前でも恥ずかしがらないからだ。だから司令官も日常的に、なんの抵抗もなく撫でていられるのだろう。
でも私は違う。人前で撫でられることを恥ずかしがって、まるで怒っているような言動を取ってしまう。司令官にも気を遣わせちゃってるし、周りから見たって怒っているようにしか見えないんだと思う。
それが原因で、二人だけの時ですら司令官の手が頭に乗ることはなくなっていった。希望も言えず、強がって、気を遣わせて……。なんだかバカみたい。私が目指してた『一人前のレディ』ってこういうことなのかな?
そうだとしたら…………
もう、一人前のレディなんてプライドは要らない。
もう、ずっと子供のままでいい。
まだ間に合うなら、今からでもやり直したい。
それで素直になって、司令官にもっと知ってもらうんだ。そうすれば楽になるはず。とにかく今ほど悩むことはない。
夕立はこういう悩みなんてないんだ、きっと。活躍できなかった日も、出撃しなかった日だってお構いなしに飛びついていける。私がやっても驚かれて終わり。そういうふうに自分で作っちゃったんだから自業自得だ。
少なからず夕立を羨ましいと思っていた。いつか司令官ごと持っていかれちゃうんじゃないかって、そう思ってた。
だからあんな言葉が出てきたのだろう。誰がどう見ても私が原因、私が発端。でも少しくらい大目に見てくれてもいいと思う。
結果的に、みんなで幸せになる発端なんだから。
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