468: ◆jSMhOnCsDM[saga]
2015/09/12(土) 22:53:49.39 ID:UQ2ifEIU0
提督「神通、どうしたんだ?」
神通「マーキングしただけですよ」
提督「マーキング?」
神通「自分のものには目印をしておかないと取られちゃいます」
提督「名前でも書いたのかよ」
その質問には答えず、また笑って、口を耳元へ運んでいる。
ここばかりは息がかかるととんでもなくくすぐったい。誰でも知っていることだ。一生に一度は、息を吹きかけてくる奴と出会うはず。
それを気遣ってなのか、そこは通り越して耳の裏側へ。
とりあえず息はかからない。こういう人と巡り逢えたことを幸せに思う。
神通「私が怖いですか?」
提督「まったく」
神通「正直、怖いと思ったことは?」
提督「心の底からはない」
神通「どうして?」
提督「さあ、どうしてかな。よくわからない」
神通「ふふっ。最初はそれでいいんです」
これこそなんのことだかさっぱりだ。よくわからない。
一つ言えるのは、彼女がずっと背伸びをしていて辛そうだという事実だけ。俺は少し腰を落とし、彼女よりも低い位置についた。
また一層に腕の力が強くなる。
神通「お気遣い感謝します。少しだけ届かなかったので……」
提督「何をするのに?」
神通「私は今とっても幸せです。提督は幸せですか?」
不幸なはずがない。これ以上を求めたら罰が当たりそうなくらいに幸せだ。
でも、この言葉はなぜか喉元で掻き消されて、腹の中へと戻っていく。
二人とも、何も言わなかった。
耳元では息遣いだけが静かに音を発している。もう波の音すら聞こえない。
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