過去ログ - 紬「カチューシャ、前髪を上げて。」
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12:けいおんSS[sage saga]
2015/07/01(水) 22:14:42.45 ID:CuC+Dd1t0

真夏の街の中は、どこにいっても蝉の声が響いている。
近年大阪ではクマゼミが増えて、アブラゼミが減ったらしいと、家庭教師から聞いた話を思い出した。
この街でもそうなのかな。そう言われると、あまり見かけない気もする。

信号はまだ赤いまま。
荷台に乗ったまま、背中越しに澪ちゃんの旅行話を聞いている。

本場のさぬきうどんはとってもおいしかったんだって。
こっちでいつも食べてるうどんと全然ちがったんだって。
欲張りのりっちゃんはてんぷらをたくさんとりすぎて、結局食べきれなかったんだって。
わたしが”食べたいことない”って言ったら、いつかいっしょに行けるといいなって。



遠いよ、うどん県。



ううん。チェーン店なら近くにもあるぞ。

…それじゃ本場にならないよ。
やっぱり行くなら、本場がいいな。みんなと…澪ちゃんと一緒に行けるといいな。

信号の色は、変わる素振りを見せていない。
そのまま視線を横に向けると、街路樹の太い枝にアブラゼミがとまっているのが見えた。

なぁんだ。いるじゃない。アブラゼミ。

二匹並んだクマゼミの横にアブラゼミはとまっていた。
クマゼミのように透き通っていない羽。褐色が妙に醜く思えて目を逸らした。




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