過去ログ - 紬「カチューシャ、前髪を上げて。」
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27:けいおんSS[sage saga]
2015/07/01(水) 22:27:21.17 ID:CuC+Dd1t0
−高校三年生、梅雨。−


黒板を叩く白いチョークの音に混じって、雨粒が窓ガラスを上で跳ねている。

みんな、この世界を支配しているらしい物理学の法則(この先生は口癖のようにこう言う)よりも台風の行き先が気にかかるのか、教室に漂うのはいつもと違う浮き足立った空気だ。

授業がひとつ終わるたびに風の音は強さを増し、休み時間のたびにムギは鏡と睨み合い、ヘアースタイルと悪戦苦闘していた。


来週、桜ヶ丘に台風、来るってさ。


おい、律。親戚の従兄弟が遊びにくる…みたいな言い方するなよ。不謹慎じゃないか。
それに台風なんて、逸れたり小さくなったりするからどうなるかわかんないぞ。

ところが予報を上回るスピードで北上した台風は、その勢いを弱めることなく桜ヶ丘にやってきたのだった。

明日暴風警報が出れば学校が休みになる…なんて律と唯は不謹慎なことを言って騒いでいたけれど、いつもなら一緒になってはしゃぐムギは、珍しく輪に入っていなかった。

だってわたし、学校が好きだから。

ムギの祈りが届いたのかどうなのか、どうやら朝のうちに暴風警報は出なかったらしい。
電車も通常通り運行していたようだし、やや強めの雨風に煽られつつも、みんな無事に登校した。

ところが午後の授業が始まる頃、雷が落ちた。

ドォン!という大きな音に驚いて、クラスがざわつきはじめる。
唯は朗読中だった伊勢物語を放り出して窓の外を眺めていた。

古典の授業中はこの後二回雷が落ちた。
その度にクラスはざわついて、堀込先生が注意する。授業はちっとも進まなかった。
今日も終わらなかった伊勢物語。いつからこの話、やってるんだっけ。




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