25:名無しNIPPER[saga]
2015/07/07(火) 23:24:26.68 ID:VHn0w5U6o
「――あら。この度はおめでとう、周子」
「あんがとさん。飲む? 注ぐよ」
「何回も言うけど、私未成年だからね」
「何でか年上のイメージがどーしても抜けないんだよね」
ジンジャーエールの注がれたグラスを揺らして、奏が苦笑する。
毎度こういう場では背の大きく開いたドレスを着てるけど、何か理由でもあるんだろうか。
まぁ、服はともかくとして。
「奏」
「何かしら」
「良い仮面してるね」
「ふふ、そうでしょう? お祝い用のとっておきなんだから」
案の定、奏は普段通りの笑みを浮かべていた。
頭にも顔にも、なーんにも着けちゃいない。
「奏ならそう来ると思ってたよ」
「よく分かってるじゃない」
「普段から言われてりゃあねー。誰しも仮面を被っているものよ、って」
奏の仮面は特注品だ。
実に色んな表情が取り揃えられて、そのどれもが精巧に作り込まれている。
奏の素顔を見た事は、私でも未だに数えるほどしか無い。
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