29:名無しNIPPER[saga]
2015/07/09(木) 20:00:23.87 ID:Cvn5vNaQo
「今ここに居る私も、いつもの速水奏じゃないかもしれないわ」
「仮面舞踏会だから?」
「仮面舞踏会だから」
酔ってるみたいに陶然とした口調で、くすくすと奏が笑う。
ひとしきり笑うと長く息を吐いて、顔を手で押さえた。
「ねぇ。私が誰だか、判る?」
「…………さぁ」
「ふふ、付き合ってくれてありがと。それじゃあ改めて言うわね」
奏がグラスを置く。
シルバーに触れて、耳障りな音が微かに響いた。
「シンデレラガールさん」
金の瞳が、愚直なほど真っ直ぐに私を射抜く。
「私は貴女が羨ましいわ。悔しくって、妬ましいの」
見知らぬ女の子が、仮面を外した。
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