30:名無しNIPPER[saga]
2015/07/09(木) 20:41:57.45 ID:Cvn5vNaQo
「気付くと何処かへ置き去りにしてしまって」
「…………」
「ようやく捕まえたと思えば、するっと遠くへ飛んでいってしまうんだもの」
速水奏の口から、こんなに感情的なそれが零れる事は無い。
目の前の、見慣れた、見知らぬ娘の声が、耳に刺さる。
「私ね、貴女の先を歩いてると思ってたわ」
「うん」
「だから格好付けて、置いてくわよって立ち止まったの」
この娘の表情は変わらない微笑みで。
その微笑みが誰に向けられたものなのか、あたしには判らなかった。
「もう、格好付けないから」
あたしの知る限り、速水奏はこの世で一番格好良い女だった。
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