過去ログ - 和「私は……病んでいる人間です」
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61:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/05(日) 22:58:18.24 ID:cXEvxDgx0
憧の方を見ると憧が切なそうな表情をしていることに気づきました。
そうすると、これは悪いことにはなっていなかったのでしょうか。つまり心を打ったということに……?
憧「何だか……何だかその話は」
62:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/05(日) 23:03:31.76 ID:cXEvxDgx0
しばらくお互いに無言でいました。私は帰ろうと思い、立ち上がりました。当然情事にふける雰囲気ではありません。憧を汚すのは……自分の本当に楽しかったときの思い出を壊してしまうようで……。
和「帰りますね」
憧は何も答えないので、私はそのまま帰ろうとしかけますが、私はふと思い立って財布から紙を取り出します。
63:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/05(日) 23:05:52.15 ID:cXEvxDgx0
それから3日目になりましたが、憧はまだ私の家へ訪れてはいませんでした。
あるいは来ることはないのかもしれません。私は憧が来ないことに安心していました。
というのも、このみすぼらしい穴蔵はとても見せられたものではありませんでしたし、あの弁舌は思い返すと滑稽そのものだったからです。
64:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/05(日) 23:07:44.65 ID:cXEvxDgx0
夕刻になっても、憧はまだ訪れませんでした。
憧はメモなんて破ってしまい、私のことを嘲笑しているかもしれない。そう思うと憎しみの念が沸いてきました。
ああ!私はなんてことをしてしまったのでしょうか。恥さらしもいいところです。
65:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/05(日) 23:10:27.49 ID:cXEvxDgx0
そのときです。
ベッドの上で悶えていると、コンコンとドアが叩かれる音がしたのです(チャイムがあっても友人は来ないし、大抵訪れるのはセールスか、詐欺か、宗教関連だったので、チャイムはなくしたのです)。
私はドアを開けました。するとそこには憧が立っていました。
66:名無しNIPPER[saga sage]
2015/07/05(日) 23:15:48.26 ID:cXEvxDgx0
私は何も言わず憧を部屋の中に入れました。憧は緊張した面持ちです。
私は憧を椅子に座らせ、自分はベッドに腰掛けます。飲み物をだそうかと思いましたが、コーヒーも、ジュースも買うお金がないので何も置いていないことに気づきました。水をだすわけにも、いきませんよね。
憧「あはは……来ようか迷ったけど来ちゃった」
67:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/05(日) 23:18:18.24 ID:cXEvxDgx0
憧はそう言いますが、私としては屈辱的なのもいいところです。
憧「でも麻雀のプロって儲からないんだね。シズのことがあってから余り麻雀見ないんだけど……」
和「私は一軍と二軍を行ったり来たりですから年俸も低いんです。上の人たちはそれこそ桁が違いますよ」
68:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/05(日) 23:20:57.61 ID:cXEvxDgx0
憧「そういえば、咲とはどうなったの?」
和「……咲さんとは疎遠です」
卒業間際に告白して玉砕して、襲ってしまうような形になり……それから段々と壁ができてきて、宮永照への挑発以来、私は話しかけることが出来なくなったのです。
69:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/05(日) 23:23:50.21 ID:cXEvxDgx0
和「何もかも壊れてしまったんです。始まりは咲さんとの一件、次はプロで散々叩かれて、父からは『やはり大学に行くべきだった』と言われて……全部全部、屈辱です」
涙が溢れるのを感じましたが、私は続けました。
和「私が殻に閉じ籠ると、友人もみんな私のもとから去っていったんです。
70:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/05(日) 23:26:26.37 ID:cXEvxDgx0
独白する私をふと、憧は抱き締めました。
憧「かわいそうにね……誰も助けてくれなかったんだ」
その言葉を聞くと涙がとどめんばかりに流れてきました。
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